こんにちは!アルファゼミナールです。…と塾らしさを出したいところですが、今回はちょっと脱線して「フジテレビの株主総会」や「株主の権利」に関するお話をしたいと思います。最近、フジテレビ(正確にはフジ・メディア・ホールディングス)の動向が話題になるなか、「株を持っていると株主総会に参加できる」「一定数を持っていると議案を提出できる」といった話を耳にする方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、「なぜ株をいくらか持っていると総会に参加できるのか?」「なぜ3万株保有で議案を提出できるのか?」といったポイントを、日本の法律(会社法)を踏まえて分かりやすく解説していきます。
1. まずは基本:株主はなぜ株主総会に参加できる?
1-1. 株主総会は会社の最高意思決定機関
日本の上場企業(株式会社)では、株主総会が会社の最高意思決定機関とされています。会社法(日本の法律)によって、1株でも持っている株主は基本的に株主総会に出席し、議決権を行使する権利を持っています。
- 根拠となる法律
- 会社法第308条などで、「株主は議決権を有する」と定められている。
- 1単元=100株など、会社ごとに「単元株式数」は異なりますが、少なくとも単元株主(通常は100株保有)であれば、総会に出席して議決権を行使可能。
- 最近は1株からでも参加できるケースが増えています(会社の定款や上場規則などにより異なる場合あり)。
1-2. 総会参加で得られるメリット
- 経営陣から直接説明を受ける
経営状況や今後の方針について、経営陣のプレゼンを聞くことができます。 - 質疑応答の機会
直接質問をして、疑問点を解消できる点が大きな魅力。 - 配当や役員選任などの重要事項への投票
自身の意見を会社の経営に反映させる機会でもあります。
2. 3万株持っていると“議案を提出”できる理由
2-1. 株主提案権とは?
株主提案権とは、株主が株主総会で審議する議題(議案)を会社に提案できる権利のことです。会社法第303条などに規定があり、一定数以上の株式を保有する株主が行使できる権利として定められています。
- 会社法 第303条(株主提案権)
- 発行済株式総数の1%以上、または300単元(会社が定める単元株式数の300倍)以上を、引き続き6か月以上保有している株主が、株主総会の議案を提出できる。
- 議案の例:定款変更、役員解任、新規事業の提案など。
2-2. なぜ3万株なのか?
フジテレビは「フジ・メディア・ホールディングス(証券コード:4676)」が上場しており、1単元 = 100株と設定されています。つまり、
- 300単元 = 300 × 100株 = 3万株
会社法第303条の要件を満たすには、「300単元以上」かつ「6か月以上保有」という条件が必要で、フジ・メディア・ホールディングスの場合は3万株となるわけです。これはフジテレビだけでなく、単元株数が100株の一般的な上場企業にも当てはまる仕組みです。
- 注意点
- 提案権を行使するためには「6か月以上継続して保有」している必要がある(会社法施行規則などで明記)。
- 企業によっては単元株数が異なる(1株、1000株など)ため、必要な株数は会社によって変わる。
3. 株主提案権の実際の行使とハードル
3-1. 提案の内容や手続き
株主が会社に対し、株主総会にかけたい議案を書面などで提出します。会社は、定款や法律に違反しない限り、原則としてその議案を株主総会の招集通知に記載し、総会で審議できるようにする必要があります。ただし、
- 提出期限(株主総会の8週間前までなど)が定められているケースが多い。
- 議案が法律・定款に反する場合や明らかに権利濫用の疑いがある場合は、会社側が掲載を拒否できる可能性あり。
3-2. 提案が通るかどうかは別問題
株主提案を行っても、株主総会で可決されるかどうかはまた別の話。大口株主(筆頭株主)や経営陣が反対すれば、過半数を得られず否決されることも珍しくありません。
- 例:大企業の場合は、議案可決のために多くの株主の賛同が必要。そのため、よほどの理由や追い風がない限り、個人株主の提案が通るのは容易ではありません。
4. まとめ
- 株主総会に参加する権利は、原則として株主であれば誰でも持っている。
- 会社法によって、1株(または単元株)でも議決権を行使可能。
- 3万株(300単元)を6か月以上持っていれば、株主提案が可能。
- 会社法第303条で定められている要件で、フジ・メディア・ホールディングスのように1単元=100株の企業では3万株が基準となる。
- 株主提案が認められても、株主総会で可決されるかどうかは別問題。
- 提案内容の妥当性や大口株主の意思なども大きく影響する。
結論として、フジテレビ(フジ・メディア・ホールディングス)の株主総会に参加するだけなら、少額投資(単元株)でも可能です。しかし、自ら議案を提出するとなると、3万株以上を6か月以上保有するというハードルが存在します。これはまさに法律(会社法)で定められた株主の正当な権利であり、同時に慎重に運用される仕組みでもあるのです。
株主総会は、会社と株主の「対話の場」。経営方針や企業価値向上に直接意見を言える貴重なチャンスです。もし興味があれば、一度株主として参加してみるのも面白いかもしれませんね。もちろん、投資にはリスクも伴いますので、しっかり勉強のうえでご判断ください。
それでは今回はこのへんで。少しでも「フジテレビの株主総会」や「株主提案権」の仕組みがクリアになれば幸いです!
では!
この記事を書いた人
アルファゼミナール K.T