こども家庭庁がまとめた、令和6年度の小・中学校における不登校児童生徒数は約35.4万人と、12年連続で過去最多を更新し続けています。➡︎こども家庭庁資料
長引いた新型コロナウイルス禍の影響を指摘する声もありますが、児童生徒、一人ひとりの自立や人格形成を支える学びそのものの在り方が問われているとして、文部科学省では学校をはじめ、民間や行政など様々な機関が連携することで、不登校によって学ぶ機会から遠退いてしまう子どもたちがいなくなるよう取り組みを進めています。
「COCOLOプラン」という対策プログラムとともに、親が子どもたちのためにできることや、気をつけるべきポイントを紹介します。
文部科学省 不登校対策「COCOLOプラン」
急増する不登校児童生徒のうち、1割強が学校・専門機関での相談やケアを受けられない現状から、
- 不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思った時に学べる環境を整える
- 心の小さなSOSを見逃さず、「チーム学校」で支援する
- 学校の風土の「見える化」を通じて、学校を「みんなが安心して学べる」場所にする
の3つを掲げた対策を打ち出しています。
具体的には
- 特別なカリキュラムで授業を行う不登校特例校の設置促進
- 教員や専門支援員への相談やケアを受けられる校内教育支援センターの設置促進
- 外部機関連携やオンライン活用を進める教育支援センターの機能強化
- 1人1台端末を活用した、心身の変化の早期発見推進
- 関係者の専門性を発揮した早期支援
- 悩みを抱え込まないよう保護者を支援
- 学校風土の「見える化」と授業や校則等の環境最適化
といった取り組みを、文科省とこども家庭庁が連携して進めています。
そもそも「不登校」とは?
不登校傾向とされる児童生徒の特徴には、
- 毎日「登校したくない」と感じている
- 遅刻や早退が目立つ
- 欠席が多い
- 保健室や校長室など、自教室とは別室に行きたがる
といった点が挙げられます。
文科省による不登校の定義は、
「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、またはしたくともできない状況にあるため、年間30日以上学校を欠席した者のうち、病気や経済的理由によるものを除いたもの」
とされていますが、忘れてはいけないのは
不登校は問題行動ではない
という視点です。
不登校にいたるまでには、不安や心配、人間関係の悩み、言いようのない無気力、発達障害傾向など、様々な背景が絡みあっていることが多いそうです。
だからこそ、家庭、学校、地域、専門機関などあらゆる関係者が連携して、子どもたちから発せられるサインに気づき、単に学校を休んでいる点だけでなく潜んでいる困難に対応していくことが求められます。
不登校の長期化を防ぐには、整理された理解と対応が不可欠です。
不安から学校へ足が遠退くタイプ、遊びたい気持ちや非行が先行するタイプ、情緒が安定しないタイプ、それらが複合したタイプなど、一人ひとりの置かれた状況をしっかり見つめましょう。また、学年や年齢による成長過程からくるケース、環境の変化への適応がむずかしいことで起こるケースもあります。
親はどう向き合うのがよいか
親は子どもたちにとって拠り所となるかけがえのない存在です。
「寄り添う」ことを徹底して、お子さんと目線を揃えていっしょに考え、同じペースで歩んでいきましょう。
どう寄り添ったらよいか、そのポイントを紹介します。
- 子どもの自己肯定感をしっかり守る
不登校の児童生徒は自己肯定感や自己有用感が著しく低いことがあります。
「認めてくれる人、味方がそばにいること」「否定されるのを怖がらないこと」
といった感覚から自己肯定感は育まれます。
- 他人と比べず、成果によらず過程を褒める
- 一緒に目標を設定して、達成を目指すことの価値を共有する
- お子さんをありのまま肯定する
こうした関わりから、お子さんが「自分の力」を信じられるようになれば「学校に行ってみよう」という気持ちが芽生えることもあります。
- 登校を強いず、不登校中のすごし方をともに考える
学校に行くこと、勉強することを強いてしまってはお子さんを追い詰めることになり ます。決してあせることなく、リラックスする時間を大切にしながら休める期間をつ くりましょう。
とくに不登校の要因が学校生活でのストレス蓄積や人間関係の疲弊などの場合は、エ ネルギー充電も必要です。見守りながら、お子さんの話に耳を傾けたりしましょう。
- 過度な期待を持たない
親の期待はそのままお子さんにとってのプレッシャーとなることがあります。期待に応えられない、という感覚は劣等感を生んでしまいますので、「お子さん自身がどうしたいのか」を第一にすごしましょう。
- 起床、就寝、食事などの生活リズムを崩さない
文科省による調査では、不登校にいたるきっかけとして「生活リズムの乱れ」が上位です。体も成長過程ですので、登校しなくても習慣を整えましょう。長期化を防ぐ要素にもなります。
- 外部機関、学校以外の居場所を知る
お住まいの地域の保健所、児童相談所、子ども家庭支援センターなどでは保護者からの相談を受け付けています。役所や公共相談機関を訪ね、どんな窓口や支援メニューがあるかを知って活用しましょう。
地域によっては「フリースクール」が近くにある場合もあります。一人ひとりにあわせた個別指導体制や特色のあるプログラムを導入している施設もあります。お子さんが「ありのままの自分」でいられる居場所を探してみるのもいいですね。
- 親自身が抱え込まない
「自分の子どものことだから自分で解決したい」「親としての責任がある」「身内のことなのによそに頼るのは気がひける」といった頑張りから、抱え込んでしまう保護者も少なくありません。悩みを解決する手法はたくさんありますが、要因は十人十色です。身近にある公的支援を活用して、解決へ一歩ずつ進んでいくことが大切です。
お子さんの心と体を大切に
不登校の悩みを解決するゴール地点は、再び学校に戻ることだけではありません。
”学校に行かない”というのはなんらかの要因からくる現象にすぎず、その要因のほとんどはお子さんの苦しみや悩みです。「自分自身を大切にできる」「自分らしくいられる」というところへ親子で視野を広げ、心も体も健やかな毎日が送れることが幸せですね。