夏休み、冬休み、春休みと、長い期間学校が休みになると出される宿題の定番・読書感想文。なかなか書けずに苦戦している子どもたち、「はやく書きなさい」と催促したり、見守ったりするだけの家族のみなさんも多いと思います。
読書感想文を書くことは、子どもがぐーんと成長する大切な学びの場面です。そんな貴重な機会を逃さないためにも、子どもが苦手意識を持たずにいられる家庭でできる声かけ術、書くためのちょっとしたコツ、なぜ読書感想文が大切かを紹介します。
書けない理由は…
読書感想文がなかなか書けない理由はいくつかあります。
- 読書する習慣がない、読書量が少ない傾向にある
- 自分の気持ち、考えに自信がない
- 書くための手順がわからない
- 文章量がイメージできないため計画性を持ちにくい
これらはすべて文章能力の問題ではなく、習慣や意識、方法を知っているかによるものです。ネガティブな理由がいくつか複合して、厄介な「苦手意識」をつくってしまいます。
自分が子どものころを振り返ると…、大人も心当たりがありますよね。
読書感想文の教育的価値
近年は「総合的な学習の時間」の充実によって、教科横断的な体験や探究による学習が重視される傾向にありますが、「読書+表現」というシンプルな学習で養われる能力もあります。
考える力を育てること、伝える力を磨くこと、それが読書感想文を書くことです。思考と表現を深める学びの場は、文部科学省が進める「すべての学びの基礎づくり」に通じるものとも言えますね。➡︎言語活動の充実に関する指導事例集【小学校版】
子どもたちががんばって書くせっかくの読書感想文です。学校教育的な価値をさらに充実させるため、家族だからできるサポートの秘訣を知っておきましょう。
家庭でできる魔法の声かけ
親子インタビュー方式
何から書いていいかわからない、あらすじをなぞってしまう、集中力が続かない、など、典型的な苦手パターンがあります。
そんな時は、
- どのシーンがおもしろかった?
- 登場人物に会えるなら誰に会って何を聞いてみる?
- もし自分だったらどうする?
- 最後の場面のあとはどうなると思う?
と、家族がインタビュアーとなり、お子さんに質問してみてください。
質問に対してていねいに気持ちと言葉を引き出してあげることで、子どもたちはどんどん考えを整理して、自分の言葉で語ろうとしてくれます。
インタビュアーはそこで正解を示したり、自身の思いや世間一般で言われていることで返さないように注意して、聞き役に徹しましょう。
完成より「過程」をほめる
「きちんと書けた?」などとは聞かずに「自分の言葉で文章書けたね」「考えをまとめられたね」と、作業の過程をほめてあげることで自己肯定感が育まれます。
すると、次のステップへの意欲となるため、自然と読書が好きになったり、感想や考えを表現することが楽しくなります。
「読める」「書ける」といった実感は、本を選ぶ原動力につながっていきますので、読書感想文がもたらす学びのメリットを最大限に引き出してくれますね。
構成のつくり方
読みやすい読書感想文は4つのブロックで構成されています。
- なぜその本を読もうと思ったか
- 登場人物、舞台設定、ストーリー
- 印象に残ったシーンや人物とその理由、読後の変化など
- 読んだことでこれからどうしたいか
1は読もうと思った動機です。「表紙が気に入った」「人に勧められた」「タイトルだけ知っていた」などを説明しましょう。
例文
わたしは「◯◯◯◯◯◯◯」を読みました。この本を選んだ理由は、母が「小学生のころに読んだら面白かったよ」とすすめてくれたからです。図書館に置いていなかったので、祖父母の家に行って借りてきました。ちょっと不気味な表紙を見ると、怖いけれどわくわくしてきました。
2はあらすじです。簡潔にわかりやすくまとめましょう。
例文
女の子が古い屋敷に迷い込み、オバケの子どもと友だちになる話です。最初は怖がってしまい、なかなか話が通じませんが、お互いの好きなものが同じだと知るとどんどん友情が深まっていきます。人間とオバケはまったく違う存在でも、気持ちが通じると違いを感じなくなるという内容です。
3は感想や体験を書くところで、最もボリュームのある部分です。もしこの部分でお子さんの手が止まってしまったら、先述のインタビューで引き出してあげましょう。
例文
私にもなかなか話しかけられない友だちがいました。その子は転校生で、趣味や性格がわかりませんでした。ある時、その子も私と同じキャラクターの小物を集めていると聞き、すぐに仲良くなりました。物語の中の女の子とオバケも「すずらん」という花が好きという共通点から仲良くなり、私にもその気持ちがよくわかりました。
4はまとめです。本から得られた学びや未来に向けて自分がどうしたいか、周りの人に伝えたいことなどを書いて締めくくります。
例文
この本を読んで、見た目や印象で自分と違うと感じても、話したり相手をよく知ることで、誰とでも仲良くできることを学びました。少しの違いで争ったり、仲良くできない人や国もたくさんあります。これから私は、少しの違いで相手を遠ざけたりせず、自分と同じところを探して仲良くなれるきっかけを大切にしたいと思います。
【意識しておきたいコツ】
- 感情移入しやすい本を選ぶ
- ふせんやメモを利用する
- 自分と主人公を比較する
- 登場人物の立場に自分を置いて想像する
- 主人公や登場人物のマネしたいところを書き出す
- 学んだことやこれから大切にしたいことを書き出す
苦手を克服して「もっと学びたい」へ
子どもたちを動かすのは、楽しいと思える充実感や意欲です。
学校教育が学習の地図だとすると、エンジンは子どもたち自身、燃料は家族や周りの人かもしれません。
「苦手だなー」「嫌だなー」「面倒だなー」とされがちな読書感想文の見えない価値をしっかりとつかむため、子どもたちが「もっと学びたい」といつも笑顔でいられるために、しっかりとサポートしていきましょう。